Amiga Music Programs 1986-1995 by Johan Kotlinski

NoiseTracker V2.0 – screenshot taken from Mahoney’s site

Johan Kotlinski(Role Model、Mathman)が、大学の科目のために、2003年にスウェーデン語で執筆し、2009年に自らの手で英訳したエッセイ、「Amiga Music Programs 1986-1995」の日本語訳を公開します(英語版からの翻訳です)。

Johan Kotlinski (2009) – アミガ・ミュージック・プログラム 1986-1995 [PDF] SkyDrive / Google Drive

「アミガ・ミュージック・プログラム」は、現在も私たちの身のまわりに見出せる、「トラッカー」と呼ばれるタイプの音楽制作ソフトウェアの歴史を、80年代後期に登場したホーム・コンピュータ、アミガを起点にひも解いた文書です。

英語版はAnders Carlsson(goto80)の運営するサイト、CHIPFLIPをホストとして公開されました。

Paper: Amiga Music Programs 1986-1995 | CHIPFLIP

日本に住む私たちにとって、「トラッカー」を起源に持つ音楽制作ソフトウェアとして、今現在いちばん知られているのは、おそらくRenoiseと、Johanの制作したLSDjでしょうか。これらのモダンなトラッカーの祖先はかつて、どのように現れたのか。Johanのエッセイは、私たちの知るツールの興味深い来歴を教えてくれます。

また、これはトラッカーが、ゲーム・クラッキングに端を発する「シーン」と呼ばれるアンダーグラウンド・ムーヴメントと連動して発展していった経緯を知ることができる、コンパクトかつシャープな歴史学的考察でもあります。

ヨーロッパを中心とする、コモドール64やアミガといったホーム・コンピュータ・カルチャーも、トラッカーというソフトウェアの隆盛も、またシーンというものに関しても、日本ではヨーロッパほどその浸透の痕跡の確認ができないにしろ、しかし全く無縁であったわけでもありません。それどころか、例えば、日本のMMLユーザーが、ここに「何が書かれていないか」と問うことも、十分可能です。ここから比較検討始めることは要請されるべき思考実験です。最初の発表から10年経った現在でも、テクストの可能性は尽きていません。

あらためて強調したいと思いますが、トラッカーに関する調査ならびに省察は、世界中において、今なお進行中です。例えば、Johanはトラッカーをエッセイのなかでsyntheticalとsample-basedとにカテゴライズしていますが、2009年の時点でも、この区別は優れた概念化である一方、決定的だったというわけではありませんでした。2012年、AndersはJohanが試みたトラッカーのカテゴリー化に対する一つの応答を、記事にまとめました。そこで彼は、Soundtrackers、Hypertrackers 、Acidtrackersという、トラッカーの新たな三つのカテゴリーを提唱しています。

かつて私はコモドール64で制作された音楽を聴いてるとき、80年代末から90年代にシーンで活躍した音楽家(VGMコンポーザーを除く)の多くが大変若いことに気がつき、驚いたことがあります。シーンの年齢=時代、チップミュージックの年齢=時代、ここにはなにか特別な秘密があるのではないか。これはJohanも指摘する通り、シーンがティーンエイジャーを中心に形成されたことに由来します。
すぐにその事実は、日本に住む私たちが同様にティーンエイジャーの時から、手段は違うにせよ、PCを使って音楽を制作していきたことに思い当りました。私たちはもちろんオリジナルの音楽を作りもしましたが、シーンのティーンエイジャーのように商用ゲームに使用された音楽をリップし(そのようなフリーのプログラムは日本でも存在しましたが)、所有化し、別のプロダクトに編入することより、私たちは純粋に「カバー」することを楽しんできたと言えるかもしれません。それもまたもう一つの「シーン」と呼べるしょうか。この問いの先を探ることは、私たちに託された課題です。

Andersのサイトで、このエッセイを知って以来、いつか日本のチップミュージックやデモシーンに関心を持つ人たちにも読んでもらいという思いをひそやかに抱いてきました。

この願いを実現させてくれた、JohanとAndersに感謝します。

翻訳している途中、次の方々との会話から刺激をうけました(敬称略)。ありがとうございます。JohanとAndersの成果に加えて、彼らの力強い思考と音楽的挑戦をたよりに、私は日本におけるトラッカーの歴史について、また別の場所で、別のかたちで触れたいと考えています。

KUNIO、Kabakism、hide.h、KAZ a.k.a.HIGE、hally、hizmi、兵藤説子

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